こんにちは!一時期は「ヌルトレ」しまくっていたコーヤマです!最近はそうでもない
冬場は来シーズンに向けて「ベース」をつくる時期…といわれていますね。しかし「ベース」「低強度」「LSD」とかって結構曖昧な言葉ですよね。そのあたりについて考えてみたいと思います。
※私個人の主観ですので間違いもあると思います。下手したら来月には違うことを言っているかもしれませんがご了承くださいw
「ゆっくり走って速くなる」のか?
結論からいうと、「速くなることも多いが、個人差が大きい」と思います。というのも、
・その人の体力レベル
・これまで行ってきた練習内容や得意分野(脚質)
・「ゆっくり走る」の程度(強度や時間)
によって大幅に効果が変わると思うからです。
さらに、この「ゆっくり走って速くなる」という言葉は、もともとランニングについて言われた言葉だったと理解しています。
大雑把にいうと低強度で長時間運動することで毛細血管を発達させたり、ミトコンドリアの質を改善したり、遅筋を発達させたりすることで速くなる。ということなので自転車にもあてはまるのですが、
ランナーとサイクリストでは若干意味合いが異なるところもあるのではないか?と思うのです。
「ゆっくり走ると速くなる」ランナーとサイクリストの違い
※ここでいうランナーとは、フルマラソン等の長距離のランを主戦場とするランナーのことを指すこととします。
まず最大の違いは、「ランニングエコノミー」の向上、にあると考えます。
ランニングエコノミーとはある速さで走る際に必要な酸素量のことなのですが、これを決定づける要因として、「フォーム」が50%ほどあるといわれています。
もちろん自転車でもポジションやペダリング、エアロフォーム等は重要な要素ではありますが、ランニングと比べるとその比重は小さいのかなと思います。
以前面白いなと思ったのが、トレッドミルの速度を徐々に上げていって、限界が来るまで走り続けることでフルマラソンのタイムを高精度で予測できる。という機器を使ってみたという動画を観たことがあります。(ランプテストの上位版みたいなものです)
その方はかなり速いペースまで耐えることができ、VO2Maxの値も高かったのですがフルマラソンの予測タイムは…速度の限界もVO2Maxも劣る人より大幅に悪かったんですよね。その理由がランニングエコノミーの低さでした。
ランナーの場合は「正しいフォームで」「ゆっくり走る」ことによってランニングエコノミーを向上させることがかなりタイムに寄与してくるのではと思います。
そしてもう一つは、ランはバイクに比べて心拍数が上がりやすいことです。
ランニングって、自分では大したことないペースで走っているつもりでも心拍数高めになりません?自転車と比べて、低強度が低強度になりにくい運動な気がします。そのようなこともあり、ジョグペースが速すぎ、逆にポイント練習の強度が足りず、どっちつかずの中途半端な状態になりやすいのかな?と。
なので、意図的に「ゆっくり走る」ことによって本来のLSD的な効果(毛細血管とかミトコンドリアとか)を得て、速くなった。ということになりやすいのかな~と思います。
次に自転車での運動のパワーと心拍数について考えます。
自転車で「ゆっくり走る」って…どれくらい?
ゆっくり走るといったら思い浮かぶのはいわゆる「ゼッツー」、パワーゾーンでいうZ2あたりのことを思い浮かべるのではないでしょうか。パワーゾーンはこのような感じになっています。
Z2はFTPの56~75%ですね。…56~75%ってめっちゃ広くないですか?下限と上限では60Wぐらい差があるんだけど笑
個人的にはZ2だけで3段階ぐらいに分けていい気がしますね。まあその話はいったん置いといて、次に心拍数ゾーンの紹介をします。
心拍数ゾーンだとこんな感じです。ただ心拍数での主観や有酸素、無酸素ゾーンに関してはその人のフィジカルのレベルによって異なります。この表は割と鍛えられた人にあてはまると思います。
※鍛えられている人はAT(有酸素と無酸素の境目)が高強度寄りにシフトします。要は高い強度でも有酸素で賄えるようになっていくということ。
このパワーゾーンと心拍数ゾーンを見比べてみて真っ先に思うことは、
有酸素と無酸素の強度帯が異なる
ことですよね。心拍数ゾーンでいう無酸素、最大心拍の80%に到達するのは、パワーゾーン的にはおそらくZ3(の中盤から上の方)です。余裕で有酸素ですね。パワーゾーンでいうZ4やZ5は(よほど短い時間でない限り)心拍数ゾーン的には無酸素になります。
そして「ゆっくり走る」ことについては心拍数ゾーンでの有酸素領域での話になります。
心拍数ゾーンの有酸素領域について読み解く
心拍数ゾーンの有酸素領域についてさらに読み解くと、
Z1(50~60%):リカバリー
Z2(60~70%):毛細血管の発達、脂質代謝増加、酸素摂取量増加
Z3(70~80%):遅筋繊維の発達、酸素運搬能力の向上
となりますが、これをパワーで考えると、私の場合は
こんな感じになると思います。※あくまで私の場合。
心拍ゾーン1=パワーゾーンZ1~Z2の下の方
心拍ゾーン2=パワーゾーンZ2の下の中から上限付近
心拍ゾーン3=パワーゾーンZ2の上限付近からZ3の中盤
ということはパワーゾーンでいう
Z1上限~Z2の下限付近:リカバリー
Z2の中盤~上限付近:毛細血管の発達、脂質代謝増加、酸素摂取量増加
Z2の上限~Z3の中盤:遅筋繊維の発達、酸素運搬能力の向上
となり、有酸素能力を鍛える、速くなるという観点では
「ゆっくり」=「パワーゾーンZ2の中盤~Z3の中盤」といえ、それ以下はリカバリーとなるので効果は薄い。
といえると考えます。もちろんこれだとパワーゾーンが広すぎるのですが、とりあえず
Z2の下限付近で5~7時間ダラダラヌルヌルしていた私は「リカバリー強度で無駄に疲労を溜める」という超非効率な行為をしていたということになりそうですwロングライドは楽しいけどね。トレーニング効率ではという話。
実はあのポガチャル選手のコーチも「低強度ベーストレ(LSD)は会話が面倒な程度の強度で、そこまで楽じゃないで~」と言っていたり、IRCのコーチも「LSDはFTP70~82%ぐらい(というかLSDという言葉を使わない)」と言っていたりしました。
だいたいその強度と一致しており、これを3時間とか4時間とか極力休まずに続けることで効果が大きくなるのかな~と思います。
おおよそFTPの75%前後といえるこの強度…言うほど「ゆっくり」か?って思いません?この強度で長く踏み続けたら結構疲れますよ。集中力もそれなりに必要です。でも心拍数ゾーン的にはこれが速くなるためのゆっくり強度なのだと考えます。
最初の話に戻るのですが、やっぱりバイクはランより心拍数が上がりにくい。よって「ゆっくり」のつもりが「ゆっくりすぎる」傾向がある。
逆にランは心拍数が上がりやすい。よって「ゆっくり」のつもりが「速すぎる」傾向がある。
のではないかと考える次第であります。
じゃあZ2下限付近での運動はゆっくりすぎるから意味がないのか?といわれると、、そんなことはないと思います。
Z2下限付近での運動の意味
実は先ほどもう答えを言っているんです。リカバリーです。速くなるベーストレという意味では効果が薄くなりそうですが、リカバリーとしての役割があります。
アクティブリカバリーについてのメリットについては以前の記事で紹介しました。この考えについては今のところ変わっておりません。
回復の促進、食事(カロリー)の制約の緩和および栄養摂取、フィットネスレベル(CTL等)低下の抑制、精神の安定などのメリットがあり、デメリットはないんじゃないかと思います。個人的にはある程度安心してメシが食えることが何より精神の安定を生み出しますw
ただし、ベーストレ(LSD)とは分けて考える必要がありそうだということです。ベーストレ(LSD)の方は普通に疲れる程度にはやらないと効果が薄そうなので、リカバリーとは別の日に行うのが良いと思います。
ベース期の練習って、週3~4回「ゆっくり」走って、週2回リカバリーして、週1~2回テンポ以上のポイント練習って感じになるのかな?(毎日乗る前提だけどw)
最後に
今回の考察、いかがだったでしょうか?
このような考察って…自分を基準に考えてしまうところがあるんですよね。冒頭で「個人差が大きい」とちらっと言いましたが…
FTPで4W/kgぐらいまでは「何やったって伸びるんだからとにかくたくさん乗ればいいと思うよ?」と思います。それこそ「ゆっくりすぎる」強度でもある程度の成果が得られるはず。たくさん乗れる身体になること自体がかなりの財産になる。
4.5W/kg、5W/kg、それ以上…となるとどんどん伸びにくくなってきます。私ですね。笑←わろてる場合か?w
そうなってくると、ある程度「ジャンクマイル」を減らす必要が出てきて、「ゆっくりすぎる」強度はリカバリー以外の効果を持たなくなってくるんじゃないかと思いました。7~8月とかヌルヌルしすぎてパフォーマンス落ちたと思っているのでw
まああんまりカッチリやろうとすると精神的に疲れたりストレスだったりするので、頭の片隅にでも置きながらやってみようかな~と思った次第です。たまにはアホみたいなロングライドもいいかもしれませんw
ということでサイクリストは「ゆっくり走ると速くなる」のか?というあくまで個人的な(強調)考察でした!
Rice On !!
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