こんにちは!子供のころから数字が好きだったらしいコーヤマです!
パワトレをしているサイクリストにはTSSやCTLは広く知られた言葉になりつつありますが、Stravaにも「相対的エフォート」という謎(?)指標がありますよね。これについて考えてみたいと思います。
まずTSS、CTLについて簡単に
ご存じの方も多いとは思いますが、皆が知っているという前提で話を進めるのはよくないと思いますのでざっくりおさらいしましょう!
・TSS:トレーニングストレススコア。FTPを基準のパワーとして強度係数(IF)、運動時間から算出するもの。FTP100%強度で1時間トレーニングすると100になる。FTP50%で1時間の場合は25。2時間なら50。というように(だいたい)IFの2乗、時間をかけて算出する。
※FTP:その人が1時間維持できる最大パワー(の理想値)。…まあ最近はTTE等の概念も出てきていますし厳密なFTPの考え方については議論を呼ぶのでここでは割愛しますw
・CTL:Chronic Training Load。日本語でいうと長期的トレーニング負荷です。直近42日間のTSSから算出します(直近であるほど影響が大きくなるので正確に42日間の平均になるわけではないです)。一言でいえば練習量です。
CTLが高いと回復力が高いだのなんだのありますが、とりあえずたくさん練習しているんだな~程度の認識で大丈夫ですw
・ATL:CTLの7日間バージョン。
・TSB:疲労度。(CTL-ATL)で算出。
これらの数値はすべて「パワー」基準です。パワーメーターがないと算出できません。また、正確に求めるならすべてのライドでパワーメーターを使用する必要があり、FTPも把握しておく必要がありますね。
相対的エフォート、フィットネスとは?
ようやく本題です。Strava独自の指標「相対的エフォート」って何なんでしょう。
まずはStrava公式の説明文を見てみましょう。
ガッツリ英語ですね~wでも私のクソザコ英語力でもまあまあわかるレベルで助かりますw
しかし今のPCは日本語翻訳機能があるんですね~便利ですね~wということで翻訳してみましょうw
一言でいうと、「心拍数版TSS」といったところでしょうか。なので、上記のパワー基準のTSSとは異なります。相対的エフォートを算出するためには、心拍計を使用してアクティビティを行うのと、自身の最大心拍数を把握し、Stravaに入力しておく必要がありますね。
ではフィットネスは?こちらもStrava公式の説明を見てみましょう。
こちらも「心拍数版CTL」と思えばよいでしょう。ただ、CTLは42日間のトレーニング量を参照していますが、このフィットネスがどれくらいの期間を参照し、どれくらい直近のトレーニング量を重視しているかまではわかりませんでした。おそらく似たようなものかなとは思いますが。
相対的エフォートの算出方法
ではこの相対的エフォートってどのように算出されているのでしょう?
これに関してはStrava公式でも公表しておらず、計算方法は不明です。が、そこについて考えてみたいと思います。
まず、相対的エフォートは「心拍数」を参照していますよね。パワーがどうこうというのとは関係なく、どれくらいきついと感じる運動をしたか、その総量を求めているものと考えられます。
ということは…「主観的運動強度」に近いものを用いているのではないかと考えます。
主観的運動強度(RPE):Rate of Perceived Exertion。その選手が主観的にどの程度の強度(きつさ)に感じたかという指標。
主観的運動強度は以下のようにレベル別に分けられております。
基本的には左から2行目、自覚度までが主観的運動強度なのですが、このようにある程度強度や心拍数をあてはめることができるようです(多少のずれはあると思いますが)。
相対的エフォートは、おそらくこの主観的運動強度と心拍数、これに時間をかけて算出しているのではないかと考えています。
相対的エフォートとTSSの差
この相対的エフォート、運動強度によってはTSSと大きく差が開くことがあります。
低強度:相対的エフォート<TSS
高強度:相対的エフォート>TSS
となりやすいです。
例を挙げると、私の昨日(2022.11.16)のリカバリーライドのログでは…
となっていました。パワー基準のTSSでは71、心拍数基準の相対的エフォートでは26でした。2時間12分の運動で26とか低すぎて笑えますねw
逆に、本気で追い込むと相対的エフォートは跳ね上がります。1時間のヒルクライムレースで本気を出すとTSSは100ぐらいになると思うのですが、相対的エフォートは200とかいったりしますw 高心拍状態で追い込み続けるととんでもない値になることがあります。
TSSは筋肉的な疲労、相対的エフォートは心臓、生理的な疲労と考えるのが自然かな?と思っています。
そしてさらに相対的エフォートとTSSで異なるところといえば、(ここまでの説明でお気づきかと思いますが)タレてきてパワーが出なくなるとTSSは少なくなりますが、相対的エフォートはむしろ多くなったりするということです。
ガンガン追い込んだり、長時間乗ったりしていると心拍下がらなくなってきますよね。やたらきついのにパワーが出ていないという状況。暑さやら標高やらもそうですね。パワーだけでは測れない要素だったり、そういう身体の疲労に対して敏感なのが相対的エフォートなんですね。
CTL、(Stravaの)フィットネスから見るパフォーマンス
「CTLを上げると強くなるのか?」「CTLが高いと強いのか?FTPも高いのか?」という話題ってちょくちょく議論になりますよね。
個人的にはCTLが高い人っていうのは「単純に練習量が多い」「強くなる土壌がある」「たくさん食べられるw」って感じで、強さとの相関は薄い(ただしスタミナと回復力は高い)と思うのですがそれはひとまず置いておいて…w
実は、「踏める」というパフォーマンス、調子の部分に関してはStravaのフィットネスの方がリンクする傾向があるのではないか?と最近思うようになりました。
TSSやCTLはある程度気にしていたのですが、恥ずかしながらこれまで相対的エフォートやフィットネスは全然見ていなかったんですw
しかし、なんとなーく自分のフィットネスのデータを見てみたところ…こうなっていました。
私が今シーズン一番パフォーマンスが高かったのは間違いなく6月です。理由は富士ヒルがあり、ゴールドを獲るために必死だったからですwこのときはかなり計画的にトレーニングしていました。
本番のときは疲労抜きのため少しフィットネスが下がっていますが、5月下旬~6月頭がピークで、135ほどあったようです。
そのあと緩やかに下がっていていますね。富士ヒル終わってからも乗っていたつもりで、実際CTLは下がっていませんでしたがフィットネスはダダ下がりです。ヌルトレと称してダラけていたなこいつw
8月末~9月頭ぐらいが最も低く、100ぐらいになっていますね。そしてこれが今思い返すとパフォーマンスと結構リンクしているんですよ…。
レースは7月上旬に乗鞍スカイラインがあり、「悪すぎというほどではないけど富士ヒルのときほどよくはないな?」と思っていました。さらに8月末に乗鞍ヒルクライムがあったのですが、このときはもうやる前からパフォーマンスが落ちているのがわかっていました。当日パワメが謀反を起こしてデータ取れなかったのですが、後半めちゃくちゃタレましたw
レースもそうですが、トレーニング中に「あ~体調悪くないんだけどな~んかパワー出ないなぁ」と思っていたのですが目を背けていたんですかね。
で、乗鞍が終わってから「今からやらないと間に合わない気がするから来年のために身体つくるで~」ということで9月からはワークアウトなんかも取り入れてポラライズド的にやってみたり、SST系もやったりとある程度狙いをもって人体実験していました。
強烈にMAX追い込む!というトレーニングはそれほどしていないかもしれませんが、ヌルヌルしまくっていたころよりは体系的になったかなという感じです。
そして今、結構調子がいい気がしています。先週末の20分走でも好感触。富士ヒル時と同等のパワーが出ていました。最近の練習でも(当社比で)踏めている感じがします。ズイレーで蹂躙されていますけどねw
なんか調子いいかも?と思いつつなんとなくフィットネスを見てみると、9月から右肩上がりで現在135まで上がっているやんけ!と気づいたということです←遅いわ
ちなみに10月の頭に箱根ヒルクライムがありましたが、このときはイマイチ。あの時実は結構ガッカリしたのですが、単純に1ヶ月では足りなかったということでしょう。
※追記(2022.11.21)
このフィットネスのグラフ、「パワー&相対的エフォート」のグラフになっておりますが、この時点ではStravaにFTP設定の数値を打ち込んでいなかったので「相対的エフォートのみ」が反映されたグラフになっております。
本記事のフィットネスは相対的エフォートのみを参照した場合のフィットネスということになりますのでご承知おきください。ちなみにStrava(PC版)では「パワー&相対的エフォート」と「相対的エフォートのみ」のフィットネスどちらも見られるようになっています。
手動でFTP設定を打ち込んだ場合、パワー&相対的エフォートのフィットネスに心拍とパワーどちらも反映されたデータが算出されます。スマホ版ではそのデータが優先的に表示されるようですが、PC版ではどちらも見られるということで何ら問題はありません。
↓こちらの記事と合わせて読んでいただけるとわかりやすいかと思います。
話を戻しますね。
お前フィットネスの話ばかりしているけどCTLはどうだったの?とお思いかと思いますのでそちらのデータも。
3月の途中からですが、ずっと150~160ぐらいです。実は一番高かったのはお盆明けで、165ぐらいでした。しかもこれ7~10月あたりは間違いなくFTP下がっていたので、実際にはCTLはもっと高かったと思われます。そう考えるとお盆とかマジで乗りすぎだったなw9日間で45時間はアホwしかもオールズイフトだから脚止めてないしw
これだけ乗っていてフィットネス下がりまくっていたので、どんだけ低強度偏重だったんだwwwって感じですよね。一応ちょくちょく踏んでいたつもりなのですが、「つもり」だったんでしょうね~w
CTLとフィットネスを見た現在の考え
これって結局はベースをつくった後に強度上げたら伸びるよ!という王道的な結果になっただけなんじゃないかな。と思います。
CTLは単純な練習量であり、回復力でもある。フォロワーさんで「CTLは最大HPみたいなもの」とおっしゃっていた方がいるのですが、確かにそうかも!と思います。CTLを高めていくと、その日の耐久力が上がるんですよね。私もワークアウトやレースを1日に何本もやったりします。まあもちろん後半になればなるほどタレますけどTSS200ぐらいまでならそれなりの内容にできます。さらに翌日以降の回復力も高めだと思います。
ということは相対的エフォートも稼ぎやすい状態であるといえます。単純にたくさん練習できるので。そこそこ強度高めのトレーニングを長時間できるならガンガン溜まりますよね。
ただし、相対的エフォートはパワーが出なくても心拍が下がらなければ高くなります。これって実は初心者やトレーニングが少なくて有酸素能力が低い人ほど簡単に高くなりやすいということです。
これって一長一短だと思います。いいところは、ちょっと練習しただけでパフォーマンスの向上が見込めるところ。悪いところは、オーバートレーニングになりやすいところです。
個人的に感じている、考えていることは
CTL>>フィットネス → 筋疲労が溜まる感じのオーバートレーニングのリスク
CTL<<フィットネス → 生理的な疲労のオーバートレーニングのリスク
が高まるのではないか、ということです。そしてより怖いのは後者、生理的なオーバートレーニングだと思います。
筋疲労の方は少し休めば回復することが多いですが、生理的なオバトレは回復に数ヶ月を要したりすることも少なくありません。なので、基礎体力をつけてから(CTLを上げてから)強度を上げる(フィットネスを上げる)方が安全かつパフォーマンスの向上につながるのではないかと考えます。
CTL(TSS)とフィットネス(相対的エフォート)、両面からアプローチしてある程度バランスが良い状態が理想なのかな~と思います。
相対的エフォート、フィットネスの最大の問題点
Strava課金が必須!であることwww
私はセグメントとか見たいですし…息をするようにStravaに課金していたので…最初気づいていなかったんですけど有料コンテンツなんですよねw
昔は無課金でも見れたような気がするw
まとめ
・相対的エフォートは心拍数を基準にしたTSSみたいなものである(多分)
・Stravaのフィットネスは心拍数を基準にしたCTLみたいなものである(多分)
・フィットネスを向上させるとパフォーマンスも向上する気がする
・だからといってやみくもに相対的エフォートを稼いでフィットネスを上げようとするとオーバートレーニングになる気がするから気を付ける。あと単純にメンタル的にもキツいと思うw
パワトレ全盛の時代ですが、一度立ち返って心拍基準のトレーニングをしてみるのもいいかもしれませんね。
今回は珍しくちゃんと考察した気がするw文字が多すぎるけどw←もっと表とか画像とか使いなさい
ここまで長いこと話してきましたが、一番大切なのは…「身体の声を聴くこと!」無理せず楽しく、長く自転車を続けていけるようなマネジメントを心がけたいですね!
Rice On !!
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